トップシークレット!? <br>極秘に進められた「奇跡のハクサイ」開発
2025.12.05

トップシークレット!?
極秘に進められた「奇跡のハクサイ」開発

青果売場でひときわ目を引く鮮やかなオレンジ色のハクサイをご覧になったことがありますか。そのハクサイの名は「オレンジクイン」。

様々なハクサイが生み出された現在でもオレンジ色のハクサイの代表といえば「オレンジクイン」。
「奇跡の色」と農場中がその発見に湧いた「オレンジクイン」の開発秘話に迫ります。

開発者:星野さん

ハクサイ、コマツナ、ミズナ、ホウレンソウ、ツケナ…様々な困難を乗り越えて、ひたすら品種を作り続ける情熱のブリーダー。世に出した品種はなんと50品種以上!野菜への愛と夢がいっぱいです。

偶然に発見された「奇跡の色」

実は「オレンジハクサイ」開発のきっかけは、まったく異なる品種開発の副産物でした。

当初、取り組んでいたのは一年中栽培でき、病気に強い品種。特に甚大な被害をもたらしていた「根こぶ病」に抵抗性を持つ品種の開発でした。
根こぶ病抵抗性を持つ遺伝資源を探す中で、偶然にもオレンジ色のカブの素材を発見しました。この素材を用いることで、これまでにない鮮やかなオレンジ色のハクサイができるのではないかと、「奇跡の色」の発見に農場中が湧きました。
以前は日本のハクサイは内部が白色の品種が一般的で、黄色の品種すら受け入れられない時代でした。しかし生活の変化とともに白菜は丸ごとではなく、カットして販売されるようになり、断面の色合いが鮮やかなものが好まれはじめ、徐々に内部が黄色の品種が広がっていくタイミングでもありました。

開発チームは「ハクサイの世界を変えられる」という大きな夢を抱き、オレンジハクサイの育成プロジェクトが本格的に始動しました。

夢と共に、育む

「オレンジクイン」の開発がスタートしたのは1979年、ハクサイといえば「漬物」という時代です。
品種開発には約10年を要すこともありますが、「オレンジクイン」も例外ではありませんでした 。開発当初は根こぶ病抵抗性の付与に注力していましたが、オレンジ色の魅力に惹かれ、方向転換を決断します 。

「食卓に彩りを添えたい、というのは品種開発に関わる者なら誰しもが描く夢です。自分たちが作り出そうとしている品種が食卓をどのように変えていくか、そのイメージを描けなければすぐれたブリーダーとは言えないと私は思います」と星野さんは語ります。これまでになかった「オレンジ色」のハクサイがどのように日本の食卓を変えていくのか、「オレンジクイン」を育て上げていく中で、開発チームはそんな夢も共に育んでいったのです。

「食卓をイメージする」

この言葉には「オレンジクイン」開発チームの強い信念が込められています。

「ハクサイ=漬物」。
このイメージを覆す力が「オレンジクイン」にはある。

「オレンジクイン」をおいしく食べてもらえる食卓のイメージを開発チームは全力で描きます。
「オレンジクイン」の最大の魅力は、その味と食感にあります。生で食べてもハクサイ特有の辛みや苦みがなく、甘みとサクサクとした歯ごたえがあるため、サラダに最適です 。特に芯に近い部分は甘みが強く、お子様でも食べやすいと好評です 。

「ハクサイをサラダで」。
「オレンジクイン」だから可能になった新しい食の提案です。
自分たちの手で作り上げた品種の力を信じ切る。新たな食の世界をイメージする力と、品種の魅力を追求する情熱。
品種開発には知識や技術だけでなく、そんな力も必要なのです。

これまでのハクサイにはないシスリコピンを含む「オレンジクイン」。
その鮮やかなオレンジ色は、水炊きや鍋料理でも美しく映え、食卓に彩りを添えます 。甘みの強い芯に近い部分は細く切ってサラダに、葉の部分はお鍋にするなど、部位によって使い分けていただくのもおすすめです。
豚しゃぶを、美しいオレンジ色の葉でくるりと巻いて食べる、そんな楽しみ方もぜひお試しいただきたいと思います。

開発チームの信念は実り、「オレンジクイン」は1990年に市場に出て以来40年、毎年売り上げを伸ばし続け、皆様に愛されるハクサイとなりました。
これからも新たな品種で新たな食の喜びと健康を届けられるよう、タキイ種苗は開発を続けていきます。

「ファイトリッチ」の魅力をもっと知ってもらいたい。
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