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野菜への情熱が紡いだ“赤”
常備野菜として、どちらのお宅でもストックしているであろう野菜の一つ、ニンジン。
カレーや肉じゃがはもちろん、グラッセやラぺなどニンジンがメインとなる料理は豊富です。
いつものニンジンがもっとおいしく、そしてもっと機能性の高いものになれば。
そんな想いが実を結んだ「京くれないEX」。
機能性はもちろん、おいしさにもとことんこだわった「京くれないEX」の鮮やかな赤色は開発チームの情熱が紡いだ色でした。
開発者：坂巻さん
味へのこだわりには妥協なし！タキイ社内でも知る人ぞ知る、「機能性野菜プロジェクト」立ち上げメンバーの一人。ニンジン一筋幾十年！タキイ種苗のニンジン開発の裏にはこの人あり。
育てる人にも、食べる人にも喜ばれる品種を
「今のニンジン売り場はオレンジ一色。金時ニンジンみたいにきれいな赤色をしたニンジンには、その見た目の鮮やかさのほか、赤い色が持つ機能性成分などプラスになる可能性があるんじゃないか。もっと体によくて、もっと魅力的な品種を作りたい」。
開発者の強い想いが、「京くれないEX」開発の原動力となりました。
開発がスタートした当時、西日本では正月のおせち料理で赤い金時ニンジンを食べる文化がありましたが、一般的に流通しているニンジンはオレンジ色がほとんど。金時ニンジンは栽培に時間がかかる上、根が長いため機械での収穫が難しく、収量も落ちるといった栽培上の難しさがあり、また生食に向かないといった性質から敬遠される傾向にありました。
ニンジンのオレンジ色の素となるのは機能性成分であるカロテン。赤色のニンジンにはカロテンに加え赤色の機能性成分であるリコピンも含まれています。どうにかしてこの機能性成分も取り入れてなお、「作りやすくて、おいしい」という、生産者にも消費者にも喜ばれる品種を作れないか。
そんな想いから開発が本格的にスタートしました。
開発期間10年超！立ちはだかる困難を乗り越えて
種苗の育種では新品種が生まれるまでに平均10年かかると言われています 。「京くれないEX」は最初に開発された「京くれない」の改良版。栽培性を向上させた現在の「京くれないEX」になるまでの開発期間は、「京くれない」の育種を始めてから実に12年にも及びました 。開発で最も苦労したのは、機能性成分のリコピンとカロテンの含量を維持しつつ、収量性など「育てやすさ」を両立させることでした 。
機能性成分の量を高めようとすると収量が落ちる傾向があり、そのバランスを見つけるのに難航し、試作段階では「中途半端な品種」と厳しい評価を受けたこともありました 。
また、ニンジンの「赤色」は遺伝的に固定するのが難しく、安定した赤い色を維持するためには根気強い改良が必要でした 。
「晩抽性（ばんちゅうせい）」（春まきでも花芽がつきにくい特性）と赤色を両立させることにも時間がかかり、これが「京くれないEX」の開発をさらに長引かせる要因の一つとなりました。
しかし、開発チームの情熱が失われることはありませんでした。当時、競合するような性質を持った品種がほかになかったこともあり、この品種を世に出す意義、そしてこの品種の持つ可能性を信じ、チーム一丸となって開発を成功させたのです。
「京くれないEX」が食卓にもたらす彩り
「京くれない」という名前には、金時ニンジンの産地である京都の「京」と、情熱的な「紅い」色という意味が込められています 。
「京くれないEX」は、金時ニンジンと五寸ニンジン（一般的なオレンジニンジン）のよいところが合わさったような品種です 。 金時ニンジンは煮炊き料理では非常においしく仕上がりますが、水分が少ないため、生食だとかたくて食べづらい傾向があります 。 一方、五寸ニンジンは煮炊きにも生食にも適しており、ジューシーで甘みが強い特長があります 。
「京くれないEX」は、その両方のよいところを併せ持ち、手軽に生食調理ができて煮炊きにも向き、さまざまな料理にマッチするのが最大の魅力です。
ニンジンラペなどにしていただくのもおすすめ。「京くれないEX」の特長である甘みと美しい赤色を堪能していただけます。
畑でかじって生の香りや味を確かめ、調理した上でも味わいを確認し、さらにジュースにして色味や糖度をチェックするなど 、開発チームは「京くれないEX」のおいしさをあらゆる角度から追求しました。
三拍子そろった「京くれないEX」の魅力
苦労の末に「京くれないEX」を生み出した開発チームが、声を大にして伝えたいその魅力。
それは
・通常のニンジンに含まれないリコピンとカロテン両方の機能性成分を含むこと。
・冷蔵庫で長く保存することができる利便性。
・そのまま食べても、火を通してもおいしく、幅広い調理に向く汎用性。
の３つ。
食べておいしく、調理も簡単でさらに体がよろこぶ成分が含まれる。その上長く保存できる「京くれないEX」。
見つけたら、ぜひ手に取ってみてください。その鮮やかな赤色と、奥深い味わいに、きっと驚いていただけるはずです。
「ファイトリッチ」の魅力をもっと知ってもらいたい。
そんな思いからそれぞれの野菜の品種開発エピソードをご紹介する「開発秘話シリーズ」。
ほかの野菜にもそれぞれ、開発を行っていく中でのエピソードや、研究者の思いなどがたくさん詰まっています。
色々な野菜の「開発秘話」をぜひチェックしてみてください！
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